酒場
水墨画の中に私の追憶が
悔い残すあの日の光景も繰り返す日常の中に点を残す
振り返らずに進む事なんて無理だ正確に事象は水面に残影を
僅かばかりの誇りの残りを手に取って
性懲りもなく無謀な戦を強行し破れて散った

朽ち果てた老兵の様で過去の話を膨らまし事実を覆して語った
嘘で塗り固められた生き様も最早、事実か虚構か有耶無耶

自分で自分に嘘をつき 
そして嘘を信じる自分
騙された自分は嘘だと気づかずに
嘘を語った
まるで全てが事実の様に

私は伝説の戦士だった
私は伝説の戦士だった
私は伝説の戦士だった
私は伝説の戦士だった

あの頃は良かった あの頃は

杖をつき夢の続きを語る 
虚言だとか妄想だとか、もうどうでもいいよ
安い酒場ですらメッキは剥がれて笑い者 存在自体が余り物
偉そうな口調で有頂天に今夜も語る 空想のカタルシスに酔いながら
ツケだと言い残し老けた面が更に影を増すも
語りかける人は一人もいない


カウンターの端で彼の一部始終を眺めていた
「あんな奴は敗北者だな」ふと呟いて飲み干した

俺はああはならないぜ 俺は成功するんだ アイツとは違う

帰るドアで擦れ違う婆にこう言われた
「あんたもああなるよ」
俺は言う
「かもな」

煙草を葉巻だと思う奴の話
吸い込まずに煙を楽しむのさ
咽たら負けだぜ
でも
その指にあるのは煙草だぜ
吸い込まなきゃ味わえないぜ
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by siko_yugi | 2004-08-26 09:40 |
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